本文へスキップ

埼玉県草加市のごとう整骨院です。ケガはもちろん、交通事故・自律神経の治療・アスリート専門筋膜治療・ボディエステなどを専門にしています。日曜日も診療しています。

TEL. 048-942-0510

〒340-0043 埼玉県草加市草加4-5-1
スーパーベルクスさん向かい

  • コアトレーニングとは

コアトレーニングとは「体幹の深層部の筋肉(コア)を活性化させ、発達させることにより脊柱の安定を作り、手の先から足の先まで一体化して体を使えるようにさせるもの」である。主にスポーツの場面で用いられることが多いが、腰痛にも効果的である為、医療現場で用いられている事も多い。また様々な効果が期待できるため、幅広く使うことができる。

  • コアとは

コアトレーニングにおける「コア」とは腹横筋・骨盤底筋・多裂筋・横隔膜に囲まれた部分をさす。

  • 解剖

体幹構造をみてみると、その位置と働きから大きく三つ(三層)にわけて考えることができる。

外層…脊柱起立筋、外腹斜筋、腹直筋
中間層…腹横筋、多裂筋、内腹斜筋、腰方形筋
内層…脊柱・椎間円板、それをつなぐ各種靭帯・筋肉

外層の働きは、大きな力を生み出す。

中間層は筋肉が収縮することによって背骨を安定化させる。以前はこの働きは脊柱に付随する靭帯がこれを行うとされてきたが、最近の研究では中間層の筋群が主要なスタビライザーであると考えられている。この中で重要なのが「腹横筋」「多裂筋」なのである。

腹横筋は脊柱からほぼ垂直に体幹を一回りするように走行している。これが収縮することでコルセットを巻いたように腹圧が高まり脊柱が安定する。また、上下肢をはじめとする体のあらゆる運動に対して体幹の中で最も早く筋収縮を起こす筋というのも筋電図を用いた研究で発表されている。

つまりあらかじめ腹横筋が収縮することで脊柱が安定化し、運動時の重心移動に対してバランスを取る仕組みが人体には備わっていたのである。上肢において0.03秒前に、下肢において0.11秒前に腹横筋の収縮が起こると円滑に動作を行うことができるというデータもある。

腰痛の人の腹横筋の筋電図も計測したデータもあり、腹横筋の運動前に起こる収縮が通常より0.050~0.450秒遅く、脊柱を安定しないまま上下肢の運動を行っているという報告もあった。しかし、スポーツに対するコアトレーニングや腰痛に対しての腹筋などは、いままでこの中間層はほとんど無視され、最外層にばかり注目をおいてトレーニングをしてきた。

一方多裂筋も脊柱を安定させる働きがある。従来は脊柱起立筋の補助筋として脊柱の伸展・回旋という筋として認識されてきた。しかし、腰痛時に最も損傷の多いL4-L5、L5-S1の高さで起立筋よりも多裂筋のほうが発達しているのが超音波による測定で確認されている。このことから多裂筋の強化が腰痛緩和に役立つので筋力強化・活性化が着目されている。

最内層も脊柱の安定化に役に立っているが中間層の働きとは違う。中間層は脊柱を一つの塊とみなして全体的に安定させるが、最内層は個々の脊椎どうしの安定化に役に立っているのである。

  • プロプリオセプション

コアトレーニングを行うに当たって、腹横筋と共に理解しておかなければならないのがこの「プロプリオセプション」である。体内の筋・関節・腱の中には長さや伸張度を監視するシステム(関節の動きに関連する受容器には関節包のルフィニ小体、関節靭帯のゴルジ受容器がある。筋、腱に存在する受容器は筋紡錘とゴルジ腱器官)が存在し、体の三次元的な位置を脳に伝達している。

この働きをプロプリオセプションという。

脊柱はご存じの通りS字状の生理的な湾曲をもっている。この本来脊柱が描くべき理想的なカーブを「ニュートラルポジション」という。S字湾曲の最大の働きは動作中、特に歩行・走行時の衝撃吸収である。

しかし先天的なもの・後天的なものにより(後天的によるものが多い)S字状のカーブが崩れてしまうと、(いわゆる反り腰やフラットバック)これらの働きが鈍り、腰痛や様々な所に影響を及ぼしてしまう。

その為ニュートラルポジションを保つことは重要であり、コアトレーニングを行う際にニュートラルポジションを保つことは最重要課題となる。このニュートラルポジションを保った状態でトレーニングを反復することで、新たに脊柱のプロプリオセプションを高め、その位置を脳が「自然な状態」と認識するようになるのである

  • コアトレーニングの実践

繰り返しになるが、従来腹筋運動では外層の筋肉を鍛えることに重点が置かれ、中間層のトレーニングはほぼ無視されてきた。中間層のひとつ、腹横筋は上下肢の筋収縮よりも前に体幹で最も早く筋収縮をおこし、脊柱を安定させている。これは、腹横筋の収縮により腹圧が高められ、脊柱が安定化されるということである。また多裂筋も腹横筋と共に筋収縮を起こし、脊柱を安定させている。

腹横筋を収縮させることにより「コア」である骨盤底筋・多裂筋・横隔膜も同時に収縮させることができ、速やかに腹圧を高め、より効果的に脊柱を安定させている。つまり、「コア」の中心を担っているのは腹横筋である。このことからコアトレーニングはまずは今までほぼ無視されてきた中間層を徹底的に鍛える必要がある。その中でもコアの中心である腹横筋を鍛えることが最も重要である。

  • コアトレーニングは三段階に分けられている。

第一段階は「腹横筋の収縮をさせること」である。今まで使っていなかった筋肉に刺激を入れるのである。パブロフの犬と同じように使い方を忘れている腹横筋の収縮に対して、強制的に口から息を吐くという条件をつけ、腹横筋の活性化を促すのである。

第二段階は「腹横筋の収縮を維持したまま、呼吸法に関係なくいろいろな動作や運動を行うこと」である。このタイミングでバランスディスクやバランスボールなど、道具を使ったトレーニングを取り入れると効果的である。また、歩行や掃除等日常生活に取り入れて行くのも有効である。

第三段階は「腹横筋の収縮を無意識化で行うこと」である。ただし、このレベルまで行くのにはそれなりの時間が必要である。これと言って効果的なトレーニング方法はなく、第二段階のトレーニングを繰り返し行う事によって到達するレベルだからである。

第一段階トレーニング方法
(腹横筋を収縮させる)

1.平らな床に仰臥位になる。
2.両膝を90度曲げて立てる。
3.床と腰がくっつかないように隙間を空ける=腰椎の前湾を保つ=ニュートラルポジション
4.両手を臍部に置く。
5.鼻から大きく息を吸う。
6.口からゆっくり吐き出しながら、臍を脊柱に引き寄せるイメージで腹部に力を加える。この時肛門にも力を入れる

この中でも一番重要なのが「3.床と腰がくっつかないように隙間を空ける」である。このアーチを保つ事はニュートラルポジションを維持するだけでなく、腹横筋の収縮だけを孤立させて行わせるという目的がある。骨盤の後傾が起こると、必ず腹直筋と外腹斜筋が収縮してしまうからである。

この姿勢で腹横筋の収縮をコントロールできるようになったら(姿勢を崩さず出来るようになったら)、側臥位、腹臥位、四つん這い、立位へとポジションを移していく。どのポジションでもニュートラルポジションを保つことが重要である。

第二段階トレーニング方法
(腹横筋の収縮を維持する)

第二段階では呼吸に関係なく腹横筋の収縮を維持させることである。収縮させた状態でバランスディスク等の道具を用いることで、深層部のプロプリオセプションをより活性化させることができる。また維持したまま動くことで、上肢・下肢との協調性を増やしていくという効果がある。

第三段階トレーニング方法
(無意識下での腹横筋の収縮)

動作中の中で腹横筋が無意識に働いていることはパフォーマンスの向上に非常に重要である。しかし、この第三段階の効果的トレーニングはない。第二段階を繰り返し、長期的に行うことで結果として第三段階にたどりついている、というニュアンスでとらえたほうが方がわかりやすい。

ここまで三段階に分けたトレーニングの方法を述べたがこれら全てにおいて重要なことを挙げておく。

1. ニュートラルポジションを保つ
2. 量よりも質。姿勢が崩れると全く意味がなくなってしまうので、どれだけ姿勢を保ったままできるか、が重要である。

この二つがとても重要であるので必ず守らなければならない。

  • コアトレーニングの効果

コアトレーニングの効果はスポーツシーンから日常生活に関係するものまで様々なものがある。

1. 腰痛緩和・予防
2. 不良姿勢の改善
3. 疲労の蓄積の軽減(疲労感の軽減)
4. スポーツパフォーマンスの向上
5. バランス感覚の向上
6. 内臓脂肪の減少
7. コレステロール値の減少
8. 血圧の改善
9. 残尿感の軽減
10. 尿回数の減少・腹圧性尿失禁の改善
11. 便秘の改善
12. ウエストの減少
13. 生理痛の抑制

などがあげられる。

1~5はコアトレーニングにより、脊柱が安定化し、姿勢が良くなった結果であると考えられる。3はコアをしっかり安定させることで、体軸がぶれないため、体軸を戻そうとする力があまり必要なくなるからである。

6~8は血流や自律神経系の改善によるものと考えられる。脊柱を安定化・ニュートラルポジションを保つことで脳脊髄液の循環の改善がよそうされる。こうなることで自律神経に関わる症状の改善がみられるのではないかと予想される。上記以外にも、頭痛・立ちくらみ・イライラ感などが改善したという報告もある。

9~11はコアの一つである骨盤底筋を鍛えることにより、骨盤の“底の蓋”がしっかりできたためと腹圧が高まった結果だと考えられる。

12は腹横筋を鍛えた結果、内上方に締め付ける力が強まり、内臓が押し上げられた結果だと考えられる。

以上のように体の幹である体幹を鍛えることにより、運動時のパフォーマンスアップや慢性の腰痛に関しても改善できる。

コアトレーニングの質問・お問合せはこちらまで→クリック